荏田南文化サロン partⅪ

＜とっておき七夕落語会＞

荏田南文化サロンが久しく追い求めていた、とっておき「七夕落語会」が７日に行われました。あいにくの小雨模様でしたが、多彩な顔ぶれは開演を待ちわびる人波で居心地のいい空間を演出し、笑いの渦を支配しました。『三人寄れば文殊の知恵』というけれど・・・。

❖キャサリン野村❖（腹話術）

本名・野村佳子さんは、都筑区役所にボランティア登録し、市内各地の幼稚園や学校、自治会、老人会などで腹話術の魅力を披露してきました。これまで市内を中心に２０年近くの歳月と１１5０回を超える八面六臂の活動を重ねてきています。

この日は気心の知れた、やんちゃな「健太くん」と思慮深い「桜ちゃん」との意外性のある掛け合いで、一気に笑いの世界へと誘ってくれました。爆笑からクスッと笑えるのが落語会なら、腹話術は“三者三様“のやりとりがあって、不思議な想像力をかきたててくれます。会場からも手拍子が送られるなど、大いに盛り上がりを見せてくれました。

キャサリン野村さんは、頼まれればよほどのことがない限り断らないという。で、スケジュール表も「満員御礼」で盛りだくさん。活動を支えるのは腹話術へのあくなき情熱と、お客さんを全力で笑顔にすることが楽しくて仕方ないみたい。公演終了後も次なるステージに向けて、さっそうと飛び出して行ってしまった。またね～。

❖極楽亭とんぼ❖ （青菜）

このネタは、人間の機微に触れたおなじみの、こっけい話なんですね。

夏の暑い日、植木屋が仕事を終えて帰ろうとしていると、ご隠居がお酒でも呑んで行きなさいと声をかける所から始まり、最後に植木屋が言うはずだった「義経」を間違ってしまった。「牛若丸／九郎判官／義経／弁慶」の立ち位置をアタマの中で整理しておくと飲み込みやすいのですが、そうでないと面白さも半減してしまいそうです。酒の上の出来心とはいえ、込み入った話芸なので、初めて聞く人は戸惑ったかも知れません、多分。

極楽亭とんぼさんをはじめ３人はかつて、三丁目自治会館でも聴かせていただいた。軽妙な語り口と泰然自若とした演じ方は相変わらず健在で、気風のいい芸は素材の妙なのでしょうか。「青菜」との相性の良さを、改めて実感しました。

❖湊家波馬❖ （井戸の茶碗）

登場人物のほとんどが善人たちの人情噺。正直者の清兵衛と武士の誇りを失わない千代田朴斎、筋を通す高木作左衛門といった人間ドラマの登場は聞いていても清々しさを増すばかり。みなさん、実直でイヤ味もなく、聞き終わったあとも余韻が残る話芸は一服の清涼剤です。オチも誇張することなく、素直でとても好感が持てました。欲と不正がまかり通る現実の中で、湊家波馬さんのように豊かな人生経験からくる芸風の良さは見逃せません。

「花は桜、人は武士」という、古くていまにも通じる名言には思わず拍手！最後に清兵衛が「あの娘を一生懸命磨けば見違えるようにおなりですよ」というと、高木が『いや、磨くのはよそう。また小判が出るといけない・・・』

う～ん、このセリフ、どっかで聞いたような気がするなぁ。そうそう、あの名演「芝浜」の最後のしびれるような一節でした。『よそう、また夢になるといけねぇ・・・』

お後がよろしいようで――。

荏田南文化サロン・今西逸生

＜アンケート結果＞

・素晴らしいイベントでした。関係者のみなさまに感謝です。

・どれも素晴らしくてビックリしています。いつも楽しい時間をありがとうございます。

・とても楽しかったです。

・たのしかったです。もういちどみたいです。＜６歳＞

・ふく話じゅつ、落語ともに充分に楽しませていただきました。＜８９歳＞

・楽しかったです。また機会がありましたら参加したいです。スタッフのみなさまありが

とうございました。